【介護技術】仰臥位で安楽な姿勢をつくる方法|枕・クッションの入れ方と尖足予防のポイント

仰臥位で安楽な姿勢をつくる目的

介護現場では、ご利用者様がベッド上で仰向けに休まれている時間が長くなることがあります。

このとき大切なのは、ただ寝ていただくことではありません。
枕やクッション、タオルなどを適切に使い、体全体がリラックスできる姿勢を整えることが重要です。

仰臥位とは、いわゆる「仰向け」の姿勢です。
一見すると安定している姿勢に見えますが、長時間同じ姿勢が続くと、肩・腰・膝・足首などに負担がかかります。

そのため、介護者はご利用者様の体の状態を確認しながら、枕やクッションを使って安楽な姿勢をつくる必要があります。


まず大切なのは声かけと同意

介助を始める前に、必ず体調確認を行います。

「Bさん、担当のCです」
「体調はいかがですか」
「これから体の下に、枕やクッションを入れていきますがよろしいですか」
「痛いところやつらいところがあったら、すぐに言ってくださいね」

このように声をかけることで、ご利用者様はこれから何をされるのかを理解できます。

介護では、技術だけでなく安心感がとても大切です。
何も言わずに体を動かされたり、急に布団を外されたりすると、不安や不快感につながります。

特に全介助が必要な方の場合、自分で体を動かすことが難しいため、介助者の声かけが安心につながります。


準備するもの

仰臥位で安楽な姿勢をつくる際には、以下のものを準備します。

・体位変換用の枕
・クッション
・バスタオル
・硬めのクッション
・座布団

枕やクッションは、体の部位によって使い分けます。

柔らかすぎるものは沈み込みすぎて支持性が弱くなることがあります。
反対に硬すぎるものは、圧迫感や痛みにつながる場合があります。

ご利用者様の体格、拘縮の有無、痛みの有無、皮膚状態などを見ながら選ぶことが大切です。


ベッドの高さを調整する

介助をしやすくするために、ベッドの高さを調整します。

「ベッドの高さを変えますね」

このときも、必ず声をかけてから操作します。

ベッドの高さを調整する目的は、介助者が無理な姿勢にならないようにすることです。
低すぎるベッドで介助を続けると、腰を曲げた状態が続き、腰痛の原因になります。

介助者の体を守ることは、安全な介助を継続するためにも重要です。


頭部の位置を整える

まず、ご利用者様の頭を枕にのせます。

頭の位置がずれていると、首や肩に負担がかかります。
また、首が不自然に曲がっていると、呼吸がしづらくなったり、寝心地の悪さにつながったりします。

「枕をずらしますね」

このように声をかけながら、頭の位置を丁寧に整えます。


両腕の下に枕やタオルを入れる

次に、胸部をリラックスさせるために、両上肢の下に枕やクッション、バスタオルなどを当てます。

「脇にタオルを入れますね」

肩関節は、外転10度〜30度程度、ややハの字になるようにします。

この姿勢にすることで、肩や胸まわりの緊張が和らぎ、良肢位を保ちやすくなります。

腕が体にぴったりくっついた状態だと、肩まわりが緊張しやすくなります。
また、皮膚同士が接触することで蒸れや圧迫が生じることもあります。

タオルやクッションを使うことで、腕の重みを支え、楽な姿勢を保ちやすくなります。


しびれや違和感を確認する

クッションを入れた後は、必ず確認します。

「しびれたりしていませんか」

ご利用者様によっては、少しの角度や高さの違いで違和感が出ることがあります。

介助者から見ると良い姿勢に見えても、ご本人にとっては苦しい場合があります。
そのため、見た目だけで判断せず、ご本人の感覚を確認することが大切です。


膝の下に大きめの枕やクッションを入れる

次に、両膝の下に大きめの枕やクッションを当てます。

「膝を曲げますね」

膝の下を支えることで、支持する面積が増え、体位が安定します。
また、腹部・腰部・大腿部がリラックスしやすくなります。

仰向けのまま膝が伸び切っていると、腰が反りやすくなることがあります。
腰に負担がかかると、痛みや不快感につながります。

膝を軽く曲げた状態にすることで、腰まわりの緊張が和らぎ、安楽な姿勢を保ちやすくなります。


足底に硬めのクッションを当てる

尖足予防のために、足底に硬めのクッションや座布団を当てます。

足関節が直角になるように支えることがポイントです。

尖足とは、アキレス腱の拘縮によって足先が下を向いたまま戻りにくくなり、変形した状態を指します。

長時間ベッドで過ごす方の場合、足先が下がった状態が続くことで、足関節が固まりやすくなります。
そのため、足底を支えることは拘縮予防の面でも重要です。

ただし、尖足予防を意識しすぎて強く当てすぎると、ご利用者様にとって苦痛になることがあります。

大切なのは、無理に直すことではなく、楽な範囲で調整することです。


枕やクッションは体に合わせて選ぶ

枕やクッションには、ウレタン、ビーズ、綿などさまざまな素材があります。

素材によって、硬さ・沈み込み・通気性・安定感が異なります。

また、大きさや厚み、長さが合わないと、ご利用者様にとって苦痛になることがあります。

たとえば、膝下に入れるクッションが高すぎると、膝や股関節に負担がかかります。
腕の下に入れるタオルが厚すぎると、肩が不自然に上がってしまうことがあります。

そのため、枕やクッションは「何でもよい」のではなく、体格や状態に合わせて慎重に選ぶ必要があります。


タオルやバスタオルも有効に使う

枕やクッションだけでなく、タオルやバスタオルも非常に便利です。

タオルは折り方や丸め方によって高さを調整しやすく、細かい隙間を埋めるのに適しています。

たとえば、

腕の下に入れる
脇の隙間を埋める
膝の角度を微調整する
足首まわりを支える

といった使い方ができます。

ご利用者様の体の大きさや用途、場所に応じて使い分けることが大切です。


安楽な姿勢になっているか確認する

姿勢を整えた後は、必ず寝心地や体調を確認します。

「体調はいかがですか」
「寒くないですか」

その際、顔色や表情も確認します。

言葉で「大丈夫」と言われても、表情がこわばっていたり、顔色が悪かったりする場合があります。

また、時間が経つと姿勢が崩れることもあります。
随時観察し、必要に応じてクッションの位置を調整します。


介助後はベッドを元の高さに戻す

介助が終わったら、ベッドを元の高さに戻します。

「ベッドを下げますね」

ベッドが高いままだと、転落リスクにつながる場合があります。
介助しやすい高さと、休んでいただくための安全な高さは異なります。

最後まで確認して、安心できる環境を整えます。


記録も忘れずに行う

介助が終わったら、日時やご利用者様の状態を引継ぎ帳やパソコンなどに記録します。

記録する内容としては、

・体調
・姿勢の状態
・使用したクッション
・痛みや違和感の有無
・皮膚状態
・介助中の様子

などがあります。

記録を残すことで、次の職員が同じ状態を把握しやすくなります。
また、ご利用者様に合った安楽な姿勢をチームで共有することにもつながります。


まとめ

仰臥位で安楽な姿勢をつくることは、単なる寝姿勢の調整ではありません。

それは、

・安楽の保持
・褥瘡予防
・拘縮予防
・呼吸のしやすさ
・安心感の提供

につながる大切なケアです。

枕やクッションを使う際には、ただ入れるだけではなく、ご利用者様の体格や状態に合わせて調整することが必要です。

そして何より大切なのは、ご利用者様に声をかけ、確認しながら進めることです。

安楽な姿勢は、介助者が一方的につくるものではありません。
ご利用者様の反応を見ながら、一緒に整えていくものです。

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