「動画でOJT介護」担当者が、現場の声を聞きながら考えたこと
こんにちは。「動画でOJT介護」を担当している者です。
日々、介護施設の皆さまとお話をさせていただく中で、最近とくに考えさせられるテーマがあります。それが「人権」と「教育」、そして「外国人介護人材」というキーワードです。
少し重たい話に聞こえるかもしれませんが、現場の皆さまから伺うお話には、ニュースで流れる情報だけでは見えてこない、リアルな葛藤や戸惑いがあります。今回は、そんな現場の声を聞きながら、私たちが感じていることを、できるだけ正直に書いてみたいと思います。
この記事のポイント
- 介護現場では、高齢者虐待だけでなく、職員へのハラスメントも深刻な課題になっている
- 外国人介護人材の増加により、介護倫理や価値観の共有がこれまで以上に重要になっている
- 利用者の尊厳を守るためには、介護技術だけでなく人権教育が欠かせない
- NAIの動画教材は、介護技術と人権・虐待防止教育の両面から現場を支援している
① 一方通行ではない、ハラスメントという問題
近年、介護現場における高齢者虐待や身体拘束の問題が、社会的に大きな注目を集めています。
ニュースで報じられるたびに胸が痛くなる方も多いと思いますし、現場で働く方ご自身が「明日は我が身かもしれない」と感じてしまうこともあるかもしれません。
介護は本来、「人を支える仕事」です。それなのに、なぜ虐待や不適切なケアが起きてしまうのか。背景には、
- 慢性的な人手不足
- 一人ひとりにかかる業務負担の増大
- 終わりの見えない職員のストレス
- 学ぶ時間が確保できない教育不足
といった要因が、複雑に絡み合っています。一つの原因に矢印を向けて「これが悪い」と言えるほど、単純な話ではないのです。
ただ、私たちが現場の方々からお話を伺っていてあらためて感じるのは、介護現場が抱える課題は、高齢者への虐待だけではないということです。
実際には、ご利用者様ご本人やそのご家族から、介護職員が暴言や威圧的な言動、理不尽な要求を受け、精神的に追い詰められてしまうケースも本当に少なくありません。叩かれた、つねられた、人格を否定するような言葉を浴びせられた―そんなお話を伺うたびに、言葉を失ってしまうことがあります。
それでも現場では、「ご利用者様だから仕方ない」「お年寄りなんだから我慢しよう」「ご家族にも事情があるから」と、職員側が飲み込んでしまう空気があります。声を上げづらいまま、ある日ふっと心が折れて離職してしまう―そんな話を聞くと、本当に切なくなります。
介護職員による虐待も、介護職員へのハラスメントも、本来はどちらもあってはならないことです。どちらか一方だけを語って、もう片方を見ないふりするわけにはいきません。
しかし現場では、忙しさによる心の余裕のなさや、「こんなことで相談していいのかな」とためらわせる組織風土によって、両方とも見過ごされてしまうことがあります。これは、個人の問題というより、組織や業界全体で向き合うべきテーマだと感じています。
② 異文化共生は、本当にできるのか
そしてここ数年、もう一つ大きなテーマとして浮かび上がってきているのが、外国人介護人材の増加に伴う新しい課題です。
少し前のことですが、外国人介護職員が利用者を揶揄するような動画がSNSで拡散され、大きな問題になったことがありました。ご覧になった方も多いかもしれません。あれを見たとき、私たちも本当にショックを受けました。介護職としての倫理観や職業意識が問われる出来事であり、業界全体に重い問いを投げかけたと思います。
一方で、現場の声に耳を傾けると、別の悩みも聞こえてきます。
外国人職員が増えたことで職場の雰囲気が大きく変わり、
- 日本人職員が疎外感を感じてしまう
- 言葉の壁からコミュニケーションがすれ違う
- 「教える側」「教わる側」の関係がうまく作れず、チームワークに支障が出る
といった声です。どちらが悪い、という話ではありません。互いに頑張っているのに、なぜか噛み合わない。そんなもどかしさを抱えている現場が、確かに存在しています。
ここで、私たちが声を大にしてお伝えしたいことがあります。
多くの外国人介護職員は、本当に真面目に学び、ご利用者様のために努力しています。 日本語を必死に勉強し、慣れない生活の中で歯を食いしばって働いてくれている方が、たくさんいらっしゃいます。一部の事例だけを切り取って、外国人介護職員全体のイメージを決めつけるのは、決して公平ではありません。
ただ、同時にこうも思うのです。
日本独自の介護観、ご利用者様の尊厳を守るという考え方、人権意識、「介護はサービス業の前に対人援助職である」という根本の価値観―こうしたものを、十分に学ぶ機会が与えられなければ、文化や価値観の違いから、意図せず誤った行動につながってしまう可能性があります。
これは外国人だからダメ、という話ではありません。「学ぶ機会があったかどうか」の問題なのです。
③ 結局のところ、教育の大切さに行き着く
だからこそ今、介護現場に必要なのは、技術教育だけではなく、人権教育だと私たちは考えています。
もちろん、移乗介助や排泄介助といった介護技術を身につけることは、とても大切です。技術がなければ、利用者の身体を傷つけてしまうこともありますし、職員自身が腰を痛めてしまうこともあります。
しかし、その前提として学ぶべきことがあります。
それは、目の前にいるご利用者様一人ひとりに、これまで歩んできた人生があり、守られるべき尊厳があるということ。そして、その方に敬意を持って接することの大切さです。
ベッドの上で介助を受けているおじいちゃん、おばあちゃんにも、若かりし頃があり、ご家族との物語があり、誇りを持って取り組んできた仕事があったはずです。その人生を尊重するまなざしがあって初めて、技術は「ケア」になります。
そして同時にもう一つ、忘れてはいけないことがあります。
介護職員自身もまた、尊重されるべき存在であるということです。ご利用者様から、ご家族から、あるいは同僚から、ハラスメントを受けてよい人なんて、一人もいません。職員が安心して働ける環境をつくることは、結果としてご利用者様へのケアの質を高めることにもつながります。
「動画でOJT介護」ができること、できないこと
私たちNAIの「動画でOJT介護」では、移乗介助や排泄介助といった介護技術はもちろん、
- 高齢者虐待の防止
- 身体拘束についての正しい理解
- 人権と尊厳の尊重
といったテーマについても、外国人介護職員にも理解しやすい形で学べる教材を提供しています。やさしい日本語、視覚的にわかりやすい映像、繰り返し見られる利便性―言葉の壁があっても、「ああ、こういうことか」と腑に落ちる学びを目指しています。
ただ、正直なところを申し上げると、動画教材だけで介護現場のすべての課題が解決するわけではありません。これは、私たち自身が一番よく分かっていることです。
虐待やハラスメントの問題は、組織文化、マネジメント、職場環境、人員配置、待遇―本当に多くの要素が絡み合った、複雑なテーマです。動画を一本見れば解決する、なんて気軽なものでは決してありません。
それでも、正しい知識を学ぶこと、介護という仕事の社会的意義や専門性を理解すること、そして職業としての誇りを持つこと―それが、すべての改善の「第一歩」になるのだと、私たちは信じています。
そしてその考え方の下、きめの細かさ、「外国人にとってのわかりやすさ」に徹底してこだわって、都合4年以上、4万時間近くの時間をかけて制作したのが、動画でOJT介護実技編、アニメ座学編です。
最後に
外国人であっても、日本人であっても、介護に携わるすべての人が、利用者の尊厳を守り、お互いを尊重しながら働けること。
そんな職場をつくることが、これからの介護業界に求められる姿なのではないでしょうか。
介護人材の不足が進む今だからこそ、「人を育てる教育」と「人を守る職場づくり」の両方に取り組むこと。それが、持続可能な介護現場への、確かな第一歩になるのだと思います。
私たちも、現場の皆さまと一緒に、できることを一つずつ積み重ねていきたいと思っています。日々、頭を抱えながら、それでも目の前の利用者さんに向き合っていらっしゃる介護現場の皆さまに、心から敬意を表しつつ、今日はこの辺で筆を置きたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
動画でOJT介護についてはこちらから
https://bsp.nai.co.jp/

