動画を見るだけで終わらせない。「動画でOJT介護」がテキスト教材も大切にする理由

「動画でOJT介護」の制作に携わるようになって、私は介護について一から勉強することになりました。

もともと介護の知識があったわけではないので、制作に必要な内容を理解するために、介護のテキストや教本を読んだり、専門的な内容を調べたりしながら、少しずつ知識を身につけていきました。

一方で、30代の私は普段からインターネットを使うことに慣れていて、動画配信サイトもよく利用します。分からないことがあれば動画で調べることもありますし、「動画を見ながら学ぶ」ということにも、特に抵抗はありません。

実際に「動画でOJT介護」の制作をしてみても、動画には動画の良さがあると感じました。

動画だからこそ分かりやすいこと

介護技術のように、実際の動きを見たほうが理解しやすいものは、やはり動画との相性が良いと思います。

文章だけで「こうやって身体を支えます」「このように声をかけます」と説明されても、介護未経験者にとっては、なかなか具体的なイメージができません。動画で実際の動きを見ることができれば、「こういうことか」と理解しやすくなります。

「動画でOJT介護」には、実技だけではなく、座学にはアニメーションで学べるケーススタディもあります。

例えば、介護現場で起こり得る場面を登場人物が会話しながら進めていくので、単に専門用語の意味を説明されるよりも、「この状況なら、こう考えるのか」と具体的にイメージできます。初めて聞く言葉であっても、実際の会話や場面と一緒に見ることで、内容そのものはかなり理解しやすいと感じました。

これは、動画で学習する大きなメリットだと思います。
ただ、制作側として動画を見ていて、もう一つ気になったことがありました。

「分かりやすいけれど、これってちゃんと覚えているのかな?」

ということです。

「分かった」と「覚えた」は、少し違う

例えば、動画の中で「こういうケースがあります」「こういう症状があります」と説明されれば、そのときは「なるほど」と思います。

ケーススタディとして具体的な場面を見ることで、その内容を理解することはできます。でも、動画を見終わったあとに「では、さっき出てきた言葉を説明してください」と言われたら、私は自信がありません。

動画を見ている間は理解できていても、時間が経つと、右から左へ流れてしまうことがある。

これは私自身が動画で学習するときにも感じることです。

もちろん、何度も動画を見返せばいいのですが、すべての動画を最初から最後まで見直すとなると、それなりに時間もかかります。特に介護研修では、学ぶ内容が一つではありません。介護技術だけでなく、認知症や感染症、接遇、安全管理など、覚えておきたいことがたくさんあります。

「動画だから分かりやすい」という良さはあるけれど、「分かりやすい」と「知識として定着する」は、必ずしも同じではない。
制作を続ける中で、私たちはそんなことを考えるようになりました。

そこで生まれた「アンチョコテキスト」

そこで作ることになったのが、「アンチョコテキスト」です。

ちなみに、この名前を弊社の代表が「アンチョコテキストだ!」と命名したとき、社内では「古! 今時アンチョコなんて言いませんよ?」という声や、「なんだかカンニングしているみたいで嫌だ」という声もありました(笑)。
たしかに、「アンチョコ」という言葉だけを聞くと、少し懐かしい感じがします。

「動画の内容をテキストにするなんて、本末転倒なのでは?」
「結局、テキストをコピペして使われてしまうのでは?」

そんな意見もありました。
それでも私たちが目指したのは、単純に「動画の内容を紙にしたもの」を作ることではありませんでした。

どうしたら、学ぶ人が覚えやすいのか。
どうしたら、現場で確認しやすいのか。
どうしたら、管理者や先輩職員が同じことを何度も説明する負担を減らせるのか。

動画を「見たからOK」で終わらせず、そこで学んだことをきちんと知識として身につけてもらうにはどうすればいいのか。そこを、とことん考えました。
だから、印刷して使える形にしました。

動画を見ていて気になったことや、実際に先輩職員から教えてもらったことを書き足せるようにもしています。現場に持っていって、ちょっと確認したいときにすぐ見られる。まさに名前の通り、現場で使う「アンチョコ」です。
「動画を見る」だけで学習を完結させるのではなく、動画で理解して、テキストで確認する。必要なときには、また動画に戻る。
そうした使い方ができるようにしています。

外国人介護職員にも、テキストが役立つ

この考え方は、外国人介護職員向けの教材を作るときにも活かされています。
外国語版のアンチョコテキストでは、母国語と日本語を併記しています。

さらに、日本語の漢字にはすべてルビを付けています。
最初は母国語を中心に読んで内容を理解し、少しずつ隣に書かれている日本語にも目を向けてもらう。そうすることで、介護の知識だけではなく、日本語の勉強にもつながるようにしています。
実際に利用された外国人職員の方から、「最初は母国語で読んでいたけれど、だんだん日本語を読むようになった」という感想をいただいたこともあります。
私自身、利用開始のタイミングでお会いした方と、その半年後、一年後にインタビューでお会いした方の様子を見て、日本語力の変化に驚いたことがあります。

もちろん、日頃から本人が一生懸命勉強していることが一番大きいと思います。それでも、仕事で使う介護の言葉を母国語と日本語で並べて確認できる教材が、少しでも役に立っているのなら、制作側としてはうれしいことです。

外国人介護職員にとって、介護の仕事を覚えることと日本語を覚えることは、切り離して考えるのが難しい場合があります。介護技術を学びながら、そのとき使われる日本語も一緒に覚えていく。そうした学び方ができることも、外国語版テキストの大きな役割だと考えています。

「動画コンテンツだから」だけではありません

「動画でOJT介護」という名前なので、どうしても「動画で介護を学ぶサービス」というイメージが強いと思います。
もちろん、動画には、実際の動きを見たり、アニメーションの会話からケーススタディを学んだりできるという大きなメリットがあります。
ただ、私たちが作りたかったのは、動画だけを提供するものではありません。

eラーニングで学び、テキストで確認し、現場でも必要なときに見返す。

学習する職員にとっても、教える側にとっても、できるだけ使いやすい介護教育の環境を作ることを考えてきました。
介護研修というと、「研修の時間を作って、講師が教える」というイメージもあるかもしれません。でも、職員一人ひとりの経験や日本語力、担当する業務はそれぞれ違います。

だからこそ、動画だけ、テキストだけ、と一つの方法に絞るのではなく、それぞれの良さを組み合わせて使えることが大切なのだと思います。

「動画だから分かりやすい」だけではなく、「動画で分かりやすく学んだことを、テキストで確認できる」。
そして、必要なときには現場でも見返せる。

「動画でOJT介護」をご検討いただく際には、ぜひ動画コンテンツだけではなく、こうしたeラーニングとテキスト教材を組み合わせた学習環境という点にも注目していただければと思います。

制作側として介護を勉強してきた私たちだからこそ、「どうやったら見てもらえるか」だけではなく、「どうやったら身につくか」まで考えて、これからも教材を作っていきたいと思っています。