入学前教育が1年生の理解度を変えた理由
教育の成果は、派手な場面ではなく、案外こうした数字に表れます。
追試が減った。
理解度が高まった。
教員から「今年の学生は分かっている」という声が上がった。
アリス学園のインタビューの中で、とても注目すべき話がありました。
それは、「動画でOJT介護」を介護福祉学科に入学する前の事前教育として取り入れたところ、1年生の追試の割合が大きく減ったという話です。
もちろん、道上氏自身も、この結果をすべて動画教材だけの効果と断定しているわけではありません。
その年は予習重視の取り組みも並行して進められていました。
だからこそ、冷静な見方をしています。
それでもなお、ここで見逃してはいけないのは、「入学前に介護の基礎に触れておくこと」が、その後の学習の土台を大きく変えるという事実です。
留学生にとって、介護福祉学科への入学は、日本語学校までの学びとはまったく違う段階への移行です。
これまで学んできた日本語が、急に専門用語の多い世界につながる。
「移乗」「認知症」「コミュニケーション」「障害の理解」「介護過程」――言葉の負荷は一気に上がります。
ここで何の準備もないまま入学すると、多くの学生は最初の段階でつまずきます。
わからない、追いつけない、難しい。
そう感じたまま授業が進んでいくと、結局は追試や再履修につながりやすくなる。
反対に、入学前から動画で介護の基本に触れていた学生は、授業で初めて見る内容でも「まったく未知のもの」ではありません。
どこかで聞いたことがある。
見たことがある。
イメージがある。
この差はとても大きいのです。
教育の現場ではよく、「予習が大切」と言われます。
しかし、その予習がただのテキスト読みだけでは、留学生にとっては負担が大きすぎることがあります。
言葉が難しい。
どこが重要かわからない。
そもそも一人では進めにくい。
その点、動画教材は、予習の入口として非常に相性がよい。
映像がある。
音声がある。
ルビもある。
ストーリーもある。
だから、分厚い専門書よりもはるかに“入りやすい”のです。
アリス学園で起きた追試者数の減少は、おそらく偶然ではありません。
それは、学生が授業を受ける前に、「学ぶ準備」ができていたことの表れです。
しかも、この変化は点数だけの話ではありません。
理解しやすくなることで、授業に向かう心理的なハードルも下がります。
「どうせ分からない」ではなく、「ちょっと見たことがある」に変わる。
この差が、学習意欲や継続にも影響します。
もちろん、全員が同じように取り組むわけではありません。
やる学生もいれば、そうでない学生もいる。
それは道上氏も率直に語っています。
しかし、それでもなお、予備教育としての価値は確実にある。
実際に使ってみた学校だからこそ、その手応えは重いのです。
外国人介護人材の教育を考えるとき、多くの施設や学校は「入ってからどう教えるか」に目を向けます。
けれども、アリス学園の事例が示しているのは、その前の段階――入学前・入職前に何を準備しておくかの重要性です。
差がつくのは、スタートです。
そしてそのスタートを支える動画教材は、これからますます価値を持つはずです。
👉 アリス学園様とのインタビュー記事はこちら
https://bsp.nai.co.jp/interview-alice202603/



